先日弁護士の友人と話す機会があったので、「DeNAがナゼ集団損害賠償請求を起こされないのか」を興味本位で聞いてみました。
で、その回答が「あ~確かに」と納得いくモノだったので、ちょっと書いてみようと思います。
※
あ、ただ彼も弁護士として真剣に答えたわけではないし、私が勘違いしている部分もあるかもしれないので、まぁそういうユルさで見てみてください。
軽く背景から
集団訴訟の話って、MERYやiemoがDeNAに買収される前からすでに挙がってたんですよ。パクられたサイトの運営者をまとめる弁護士がいれば儲かるんちゃうの?という話。
確かに。ビジネスチャンスありそうなのになんで動く弁護士がいないのだろうと。なんなら「そういう営業が出来ないから、弁護士はダメなんだよ」くらいに私も思っていました。
いや、そりゃ1件1件だと割に合わないと思いますよ。でも当時から、キュレーションってかなりの数のパクリをしていたワケで、まとめたら大きいでしょうと、そう思っていたのです。
損害の金額の立証がメンドくさそう
で弁護士の友人の意見です。結論から言うと、やはり割に合わないのではないかということでした。
損害賠償請求の場合、大まかに2つのことを立証しないといけません。
- 権利の侵害の立証
- 損害の金額の立証
の2つです。
1は、要はあなたの文章や画像をどれくらいパクっているのかということ。これは証明するの簡単ですよね。パクられた文章や画像をとっておけば良いだけなので。
問題は2です。もしWELQとかにパクられなかったとしたら、あなたはどれくらいの利益を得られていたのですかという立証をしなくちゃいけないワケなんですね。この作業は結構ややこしそうです。
さらに2が厄介なのは(というか1もそうですが)、集団にまとめたからって、たいして作業が減らなそうだというところです。
だってパクられてなかったらどれくらい利益が出たかなんて、個々で全然違いますよね。
集団訴訟は「まとめてお得!」だから成立するワケです。
しかし今回のような案件では、「弁護士は、まとめても手間を省けない」「パクられた人たちも、損害の程度を立証しづらい」ということで、訴えるだけのお金と労力に見合わない案件ですねとなりそうだという話なのです。
ベンチャーだからできた
まぁだからMERYやiemoは、突っ走れたのでしょうね。途中までは。ただDeNAとなると、別の大きな問題が出てきますもんね。レピュテーションリスクというやつです。
ちなみに私はずっと「レピュレーションリスク」と言っていた気がする。俺がいなくなった後めっちゃ笑われたんだろうな。。
ちなみにちなみに、今日こんなツィートを見ました。
ベンチャー必勝法「評価の定まらないグレーゾーンを最速で走り切り、ガイドラインを作る側になって参入障壁を作る」
DeNA/はつまづき、メルカリは渡り切りつつある。何が違ったのか?答えは加藤さんの7年前のブログに書いてある。https://t.co/a91raSr5zA— K. Nishiyama (@ashikagunso) 2016年12月5日
そうなんですね。これはまさしく、スタートアップができて大企業にはできないところだと思います。あ、スタートアップとか書くと「スタートアップとベンチャーは違う」という人が出て来るのかな。まいいか。
ということは今回コレだけ騒がれた問題ですが、またイキの良い若者が似た手法をさらに洗練させて挑戦してくるのかもしれません。
だってホラ、やっぱ特に若者にとっては夢がある展開じゃないですか。
フェラーリやテスラの件がホントかどうかは分からないし、どっちでも良いところなのですが、そりゃグレーゾーンを走り抜くことができれば、こうして色んなモノを買えるという意味での成功者になれるわけですよ。
で、たとえコレだけ問題視されたとしても、成功者であることに変わりはなさそうですしね。
最後に
最後に言い訳しておきますが、私はこういうベンチャーを道徳的に悪いとも思っていないですし、ましてや良いとも考えておりません。
例えばMERYなんて、非公開化を悲しむ声多いですよね。
MERY大好きだったのでとても悲しいです。
「メリー」が全記事を非公開に、「NAVER まとめ」も新体制を発表 https://t.co/BLZ5ozmacZ
— 白藤里奈 (ミスオブサークルNo22) (@r_ns7215) 2016年12月5日
DeNAが買収した後のMERYを全く見ていないので、個人的な感想は特にないのですが、上のような評価を見ていると、こうやって惜しまれるモノを作り上げるというのは、やはりスゴいことだと思うわけですよ。
ということで、「WELQやMERYでDeNAが集団訴訟されないワケ」でした。
最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました。